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【思いを託す JR脱線・被害者へ】(1)長女を失った木下建一さん(43)(産経新聞)

 ■司法手続きに翻弄4年

 −広島市の小1女児殺害事件は1審で公判前整理手続きを経て5日間連続の集中審理が行われました。裁判員裁判のモデルといわれましたが

 「『争点を絞るから裁判が短くなる』と聞いて、長引くよりはいいと思っていました。判決には不満でしたが、一区切りが早くついたのはほっとしました」

 −2審以降の状況についてはどうですか

 「高裁が地裁に差し戻したのは予想外で、とてもがっかりしました。せっかく被告のペルーでの前歴が証拠採用されたのに、それは全く判決に反映されなかった。さらに最高裁が上告を受理し、結局この4年間は司法手続きの問題を審理しただけで、事件については何も新たに明らかにならなかった」

 −迅速審理のはずが、結果的には制度や手続きの問題で長引いてしまった

 「刑事裁判が被害者や遺族のためにあるのではないとは理解しています。でもこうなるぐらいなら、たとえ長引いても普通の裁判をしてほしかった。いろんな証拠を審理し、被告人質問をしてほしかった。それで少しでも事実が明らかになったかもしれませんから」

 −JR脱線事故でも公判前整理手続きが適用される見込みですが

 「公判前整理で争点が絞られると、事件の背景や詳細な状況は審理の対象外になる。遺族が望む真相究明とは、方向が変わってしまうかもしれません」

 −差し戻し控訴審は6月の第2回公判で結審する見通しですが

 「非常に残念です。被告の口から真実が明らかにされることは、二度となくなってしまう。私は、たとえどんな残酷な殺され方で、聞くに堪えない内容でも、子供の最期の姿を知りたい。学校を出てから亡くなるまでの時間は、4年以上たった今も空白のままで、非常につらい。この空白が埋められる可能性を、私は法廷に懸けてきたのに」 (聞き手 木村さやか)

                   ◇

【メモ】広島市の小1女児殺害事件 

 平成17年11月、広島市安芸区で下校途中の小学1年、木下あいりちゃん=当時(7)=の遺体が見つかり、殺人、死体遺棄、強制わいせつ致死などの罪でペルー人のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(38)が起訴された。広島地裁は死刑求刑に対し無期懲役を選択。2審広島高裁は19年12月、「審理が尽くされていない」と1審判決を破棄して地裁に差し戻した。しかし弁護側の上告を受けた最高裁は21年10月、2審判決を破棄し高裁に差し戻した。

                   ◇

 JR福知山線脱線事故は被害者の申し立てを受けてJR西日本の歴代3社長が強制起訴され、今後、法廷で審理が行われる。被害者たちにとって刑事裁判とはどんな意味を持ち、どんな問題に直面することになるのか。過去の当事者に思いを聞いた。

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